普段のギター/ベース録音では、DAW上のソフトAmp Simを中心に使っています。

音質に大きな不満があったわけではありません。録音後にアンプやキャビを変更できるし、Helix Nativeなどを使えば音作りの自由度も高い。むしろ「音だけ」で考えるなら、ソフトのままでも十分でした。

それでも今回、HeadRush Flex Primeを購入しました。

結論から言うと、欲しかったのは「ソフトAmp Simより良い音」ではなく、

良い音をモニターしながら、そのまま軽いAudioとして録音し、必要なら後からDIへ戻れる環境

でした。

この記事では、ソフトAmp Sim中心だった自分がなぜハードモデラーを導入したのか、何を条件に比較し、なぜFlex Primeを選んだのか。そして実際に使い始めてどう感じているかをまとめます。

※本記事は2026年10月時点の使用環境・Firmwareを前提にしています。

ソフトAmp Simで困っていたのは「音」ではなく制作フロー

ソフトAmp Simの最大のメリットは、録音後でも音を変えられることです。

一方で、ギターを何本も重ねる制作では少しずつ面倒が増えていました。

  • Rhythm L / R、Lead、Cleanなどの数だけAmp Simが増える
  • プロジェクトが重くなるとFreeze / Bounceが必要になる
  • DI、Amp Sim入りTrack、Bounce後Audioなど管理対象が増える
  • 録音するたびにDAWを開き、Pluginを立ち上げ、音色を選ぶ
  • CPU負荷を気にしながら録音とMixを進めることになる

1〜2本のギターなら大きな問題ではありません。

ただ、自分の制作ではギターを複数重ねることが多いので、Amp / Cab処理だけでもハード側へ逃がせれば、かなり身軽になるのではないかと考えました。

ただし「後から音を変えられる」は残したい

ハードで完成音だけを録ると、後からAmpを変えたくなったときに困ります。

そのため、機種選びでは次の条件を重視しました。

  • Guitar / Bassの両方で使える
  • 処理済みWETとDry / DIを同時に録音できる
  • 録音済みDIを後からReampできる
  • 48kHzの制作環境で使いやすい
  • 外部IRを使える
  • Pitch / Drop Tune系を使える
  • Expression Pedalを使える
  • FX Loopがある
  • ハード単体で音作りを完結しやすい

理想は、

という形です。

WETが良ければそのまま採用。

後から音を変えたくなったらDIにSoftware Amp Simを挿すか、DIをFlex Primeへ戻してReampする。

これなら、ハードの軽さとソフトの自由度を両方残せると考えました。

最初に気になったのはValeton GP-150 / GP-180

最初は、価格を抑えてこの運用を作れないかと考え、Valeton GP-150 / GP-180をかなり調べました。

価格に対して機能が多く、NAM、IR、USB Audio、Reampなど、今回欲しい要素をかなり持っています。

ただ、調べていくうちに自分の用途では気になる点も出てきました。

特に大きかったのが、NAMをどう扱うかと、Pitch / Drop Tuneを録音時にどこまで快適に使えるかです。

せっかく新しいハードを導入するなら、「安く一通りできる」だけではなく、数年使っても音作りの選択肢が狭くなりにくい機種にしたいと考え、予算を10万円以内まで広げました。

POD Go、GX-100、Ampero IIも比較

Line 6 POD Go

POD GoはUSB Reampや外部IRなど、宅録用途で必要な機能がかなり揃っています。

自分は以前HX Stompを使っていて、現在もHelix Nativeを所有しています。

そのため今回は、POD Goを選ぶと「新しい環境を増やす」というより、すでに知っているLine 6系の環境へ戻る感覚が強く、優先度を下げました。

製品が悪いというより、自分が今回ハードを買う理由との相性です。

BOSS GX-100

GX-100もかなり有力でした。

BOSSのエフェクト、AIRD、Routing、FX Loopなど、普通に長く使えそうです。

一方で今回は、通常のAmp Modelingだけでなく、NAM / Capture系の音も積極的に使ってみたいという目的が大きくなっていました。

そのため最終的には候補から外しました。

Hotone Ampero II

Ampero IIはAudio Interfaceとしてもかなり強力で、8-in / 8-out USB Audio、Reamp、外部IRなど宅録との相性が良い機種です。

ただ、自分はすでにSSL 2 MKIIをメインAudio Interfaceとして使っています。

そのため、豊富なI/Oよりも、

「ギター/ベース録音用のフロントエンドとして何ができるか」

を優先しました。

Flex Primeを選んだ最大の理由はNAMと宅録機能の両立

最終的にFlex Primeへ決めた理由はいくつかありますが、一番大きかったのは、普通のAmp Modelerとして使いながら、NAMもネイティブで扱えることでした。

現在のFlex Primeは、通常のAmp / Cab / Effectに加えて、

  • HeadRush Clone / SuperClone
  • Neural Amp Modeler
  • NAM A2 Full / Lite / Legacy
  • 3rd-party IR
  • HeadRush Cloud
  • TONE3000

を利用できます。

自分にとってはここがかなり大きかったです。

Stock Ampが良ければそのまま使う。

別の実機系サウンドを試したければNAM。

Cabを変えたければ外部IR。

さらにDIを残しておけば、後からReampもできる。

一つの方式に固定されず、音作りの逃げ道が多い。

これが決め手でした。

HeadRush Flex Prime本体の接写。画面にはRigのブロック配置が表示され、足元のスイッチにはK DRIVE、IR、GATEが割り当てられている。
実際に使用しているFlex Prime。画面でRigの構成を確認できます。

宅録機として欲しかった機能もほぼ揃っていた

Flex PrimeはUSB Audio Interfaceとしても使用でき、24-bit / 44.1kHz / 48kHz / 96kHzに対応しています。

自分は普段48kHzで制作しているので、そのまま運用できます。

さらに、

  • Guitar / Bass対応
  • WET + DI録音
  • USB Reamp
  • 3rd-party IR
  • Stereo FX Loop
  • Expression Pedal
  • Wah / Whammy系
  • Wi-Fi
  • HeadRush Cloud
  • ブラウザベースのRemote Editing

など、今回欲しかった条件がかなりまとまっています。

専用Editorアプリを毎回立ち上げなくても、同一ネットワーク上のPCからブラウザで編集できるのも、自宅制作では思った以上に便利でした。

実際に使い始めて一番変わったこと

使い始めて最初に感じたのは、音質以上にギターを弾き始めるまでが速くなったことです。

PC側のPlugin負荷を考えなくていい。

重いProjectを開いていてもAmp Simの追加負荷を気にしなくていい。

ギターを持ってFlex Primeを通せば、すぐに使える音が出る。

録音するときもWETをAudioとして残せるので、後からProjectを開いたときにAmp Simを何個も立ち上げ直す必要がありません。

もちろん、音を変えたくなればDIがあります。

この、

「まず良い音で弾ける。でも後戻りもできる」

という感覚が、自分の宅録ではかなり合っています。

Stock Presetも想像以上に使えた

購入前は、NAMと外部IRを中心に使うことになると思っていました。

実際には、Stock AmpやPresetの段階でも「このまま録音に使えそう」と思える音がかなりありました。

一方、TONE3000を見始めると、同じAmpでも設定違いのNAMが大量にあります。

これは非常に面白い反面、音探しだけで時間が溶けます。

今後は、

  • CLEAN
  • EDGE
  • CRUNCH
  • RHYTHM
  • HEAVY
  • LEAD
  • BASS

のように用途別で実戦用Rigを少数作り、良かったものだけ残す予定です。

Flex Primeは「ソフトAmp Simの代替」ではなかった

使ってみて分かったのは、Flex Primeを導入してもSoftware Amp Simが不要になるわけではないということです。

自分の場合は、

録音時

→ Flex Primeで良い音をモニターしながらWET + DIを録る

その音で問題なければ

→ WETをそのまま使用

後から変えたければ

→ DIをSoftware Amp Simへ送る、またはFlex PrimeへReamp

という役割分担になりました。

SoftwareとHardwareのどちらかを選ぶというより、それぞれ得意な部分を使う形です。

まとめ

自分がFlex Primeを買った理由は、Software Amp Simの音に不満があったからではありません。

欲しかったのは、

録音時はハードで気持ちよく弾き、完成に近いWETを軽いAudioとして残しながら、DIという保険も残せる環境

でした。

Flex Primeは、

  • 普通のAmp Modelerとして使える
  • NAMをネイティブで扱える
  • TONE3000へアクセスできる
  • WET + DI録音ができる
  • Reampできる
  • 48kHz環境で使える
  • 外部IRやFX Loopも使える

という点で、その目的にかなり合っています。

まだ導入直後なので、長期的な評価はこれからです。

ただ少なくとも現時点では、ギターを弾き始めるまでの判断とPC負荷が減り、録音フローはかなり軽くなりました。

次回は、実際にかなり迷った

「HeadRush Flex Prime初回セットアップ|製品登録・Firmware・Driver・Remoteまで」

を、Windows環境で実際に行った順番どおりにまとめます。